雑誌での「翻訳」の特徴

翻訳と言っても、様々な分野があります。文芸翻訳、雑誌翻訳、特許翻訳などです。さまざまな分野の翻訳の中で、翻訳ツールが一番発達しているのは、特許翻訳の分野ではないでしょうか。第一の理由は、特許についての文章は、自然科学分野のものとして、論理的で文法が比較的単純であることだと思います。そのままの機械翻訳でも、他の分野ほど大きく翻訳が崩れるということはないようです。

第二の理由は、特許についての原文のパターン、作成すべき翻訳文のパターンがいずれも定まっていることでしょう。ただし、これについては、ツールに任せるのではなく、翻訳者自身がパターンを身につけることが重要とされています。

そして第三の理由は、ときとして難解な学術用語をデータベース化することこそ、ツールの真骨頂といえる部分だからでしょう。その用語の意味が瞬時に明らかになり、入力に手間取ったりさえするような長い用語が自動的に入力されたりするというのは、大きなメリットです。もちろん、この場合でも翻訳者自身が文章力を磨いていかなくてはならないのは当然です。

いずれについても、もともとそれらの分野についての知識を蓄積しておくことが翻訳者にとっては必要でしょう。英会話学校で英語を学んだだけでは翻訳は難しいです。まず、文芸翻訳の翻訳者の方からすると、雑誌での「翻訳」というのは、やはりもとの文章の情報量を削りすぎだ、という風にうつることもあるようです。とくに、日本語ではカタカナ表記をしなくてはならない単語が多いような分野の雑誌に顕著なのですが、1ページあたりの情報量が、英語と日本語ではだいぶ変わってきたりします。

英語版と日本語版の両方があるような雑誌だと、読み比べてみれば、ずいぶん削っているな、という風に感じたりすることもあるのではないでしょうか。いずれにせよ、単なる全文訳ではなく、どこがもとの文章の必要な部分なのか、重要な部分なのかをそれぞれの翻訳者が判断することになります。雑誌翻訳では、そこも大切な腕の見せ所なのでしょう。